2017年 06月 07日
「幕末新選組」 池波 正太郎
七十七年の天寿を全うした隊士、剣道の快感に没入した青春の血をそのまま新撰組に投じた永倉新八。女には弱いが、剣術では近藤勇以上と噂された新八の壮快な人生。
池波版新撰組ですね。
というか、池波版永倉新八伝か。
さすがは池波、のっけから糞ではじまります。
これぞ池波。
本当、糞好きだよな。
この話は、新撰組そのものの話としてはかなりユルい。
まあね、執筆が1964年とのことだから、
現代の史実といわれていることとの差異はある意味仕方ないと思うが、
それにしても、アレだ、ユルい。
が、永倉物語としては面白い。
もうね、池波先生は永倉が好きで仕方がないんだな。
同じ江戸っ子だからかね。
ほぼ彼の目線で彼のことしか書いてないもの。
まあ、新撰組本は数多くあれど永倉にここまで寄った小説はあまり見ないから、
そういう意味では充分楽しめる。
本当、なんで永倉本は少ないんだろうな。
同じ長生きで、隊長クラスでも斉藤本のほうが多いんじゃないか。
キャラも立ってるし、古参だし、おいしいと思うんだがな。
やはり、近藤、土方と反りが合わないキャラってことで、
「新撰組」というストーリーの中では使いづらいのかね。
何にしても池波節が入った永倉物語。
良作でした。
by jimi-hei
| 2017-06-07 23:26
| 「 俺 読書 」